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映画『バベットの晩餐会』 [▽▲▽映画・ドラマ▲▽▲]


バベットの晩餐会 HDニューマスター  [DVD]

バベットの晩餐会 HDニューマスター [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD


総合評価:★★★★☆
19世紀末のデンマークの小さな漁村。
牧師とその美しい姉妹は、その美しさゆえに求婚者が
何人も訪れるが、すべて父親の牧師が断ったり
姉妹たちもまた、拒んで来た為に
老婦人となっても独身のままなのでした。
姉のマーチーネは軍人に求婚されたのに父に断られて
妹のフィリパは、あまりの美声に旅行中のオペラ歌手に
見染められて、滞在中に歌のレッスンまで受けていたのに
そのチャンスも断り、牧師の父に仕えている。

最初はなんて父親だろうと思ってたけど…
それも彼女たちが選んだ人生なんだよね。
嫌だったら牧師の家を出れば済む事だもん。

2人は年老いて老婆となった今でも、父親を忍んで
貧しい村人と共につつましく暮らしていたのでした。
そんなある日、嵐の雨の中に一人の女性が手紙を
携えて姉妹の家を訪ねてくる。

その手紙は妹フィリパの歌の指導をしたオペラ歌手で
彼によると、彼女はフランスから亡命して来て、夫と子供を失い
何もかも亡くして、すべてを失った彼女は姉妹の家に逃げてきたのでした。

給料はいらないので置いて欲しい…ここに置いてもらえないのなら
死ぬしかないと懇願する。
姉妹はやむなくバベットを牧師の家に置くことにする。
牧師の家ゆえに、質素で貧しい暮らしを美徳として
敬虔に生きてきた姉妹だったのですが
バベットの作る料理は、姉妹に大きな変化を少しずつ
与えて行くのでした。

姉妹の食事は、栄養と言うか最低限の「補充」であって
食を楽しむとは遠いもので、バベットは少しでも
姉妹の力になろうと懸命に尽くして働くのでした。

そんなある日…そのバベットが宝クジに当たって
生涯使い切れないほどの大金を手にしてしまいます。
亡命する時にも助けられた、唯一の肉親である
船乗りの甥っ子(多分14~5歳?)に
頼んで、時々買っていたのですが、それが当たるのです。

姉妹はバベットがフランスへ戻ってしまうと覚悟して
それならば見守ろうと考えていたのでした。

姉妹の父親の牧師の生誕100年目に当たるお祝いを
村の人たちと行う事になり、バベットは自ら姉妹に申し出て
最高の晩餐会の料理を振る舞わせてほしいと頼みます。
ここにきて彼女が初めて申し出る願いに姉妹は
戸惑いながらも、それを承知するのでした。

バベットの作る料理や彼女が選んだ至福のワイン…
貧しい漁村の中で、貧しくつつましい生活を美徳としてきた
クリスチャンの人たちの食生活の中に
突然目の前に繰り広げられる美しい料理の数々…

いかにも単館映画っぽい地味で華のない映画ですが
そこに生きている人たちの、ささやかな日常と
無償の愛の形が色々な形で繰り広げられる映画なのでした。

バベットもまた、色々失ってしまった事で、
デンマークの小さな漁村で生きてきて、料理を作れる喜びを得て
貧しい中に少しずつ幸福感が違う形で表されてて、
心に残る映画なのでした(≧▽≦)

そう、旅行先で立ち寄った小さなお店が想像以上に
美味しかったみたいな喜びがこの映画にはあるのかな~

私が昔友人と福岡に旅行に行ったのですが
着いてすぐに老夫婦二人でやっている小さなお蕎麦屋さんに
入ったの。それこそカウンター席5つで満員くらいの
小さなお店で常連さんが2人いるだけだったし
お蕎麦を運んできたおばあちゃんは、腰も曲がって
80~90近かったと思う…
値段もハッキリ覚えている。天ざるで650円という安さ。

私も友人も目の前で見つけた店にさっと食べて出ればいいと
思ってたんであんまり考えずに入ったお店でした。
が・・・・これが、ものすごい美味しかったの。
蕎麦の風味があって、西日本ではコシのない蕎麦が
主流だと思ってたけどしっかりコシのあるお蕎麦で…
あんまりにも美味しかったので帰りにも来ようと
思ってたくらい。

で、翌日の夜にかなり大きな店舗のお蕎麦屋さんに入って
1500円以上するお蕎麦を頼んだのに…あんま美味しくないの…
やっぱりあのお店が美味しかったのね!って事になり
帰る日に、そのあたりを探したんだけど、どうしても
見つけられなくて、心残りのまま帰路についちゃった。
幻だったんじゃないかと思うほどの小さなお店…

なんか、そういうものすごくささやかな食の思い出が
映画の中に垣間見えるの。
値段じゃなくて…ああ、あそこのあれ美味しかったなって
思うものって、味とか腕とかでもなくて、思い出スパイスが
加わってものすごく美味しい記憶になるじゃない?
食べ物って、食材とか値段とかにこだわる人もいるんだけど
私はそういう物よりも思い出の方が大きいみたい。

あれ、好きだったな~ってモノの方が思い出に残ってるかな。

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