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小説『鯨の哭く海』内田康夫 [★☆★本・コミックス★☆☆]

社会派はそんなに好きじゃないのですが、
題材が題材だけに今日は社会派な話題になってしまいます。
めんどくさい人は、飛ばしてください(汗)

自分が浅見光彦シリーズを描く事になるずっとずっと前…
20年くらい前から、会社の上司に借りたり、自分で買ったりで
長年読んできていた内田康夫先生の小説。
通勤電車では、毎日行き帰りで読書をするのが日課で
たいてい1~2日に1冊の割合で、
歴史小説とかダニエル・キイスが中心だった私ですが
上司に借りた小説で、西村京太郎さんの十津川警部シリーズを
濫読していたのですが、ある時借りた浅見光彦シリーズを
読み始めてすっかり旅情ミステリーにハマってしまいました。

私は元々が旅行好きで、当時から今で言う『歴女』で『鉄子』だったので
電車や観光地が出てくるのは、旅行気分を味わえて
毎日の混み合う通勤電車の中で癒しをもらっていました。

うーんでも、自分を『歴女』って言うのはどうも抵抗ある。
だって、ちょっと前に歴女と呼ばれてた人たちって
別に歴史ファンって訳じゃなくて『戦国BASARA』のゲームやアニメの
ファンなだけですから・・・・私は戦国時代にはあまり精通してなくて
平安末期~鎌倉時代初期くらいまでしか興味はない。
それ以外だと邪馬台国とか聖徳太子の時代の方が
興味はあるかも…

『鉄子』は別にいいんだけど(笑)写真に撮りたい訳ではなく
乗っているのが好きってだけですから。電車の旅が好きなだけ。
それがどんな電車かは興味はない。

脱線を元に戻して…
最近、フラリと待ち合わせ時間前に寄った本屋さんで
久しぶりに読んでないモノを探そうと思って買ったのが
この「鯨の哭く海」
海洋哺乳類大好きな私なので、これは読んでみようと
手にとってみたのですが、うーん…題材が題材だけに社会派な
ハナシだった・・・・・・・
正直、社会派の浅見光彦シリーズは、そんなに面白いとは思わない。
現代の社会問題を扱うのは、デリケートなのですが
私は、人の考えはそれぞれ違って当然であって
それを論議するのは、正直あんまり意味があるとは思わないのだ。

鯨問題に関しても、読んでみた感想では、光彦君と
私の考えは微妙に違う。
私は鯨を食べるか食べないかとか、そういう問題も含めて
歴史に習うのが常だと思うわけだ。

妙な団体のプロバガンダ活動のせいもあって、捕鯨の歴史に
いちゃもんつけられていますが、私はその国や土地や地域での
食文化は他国や他人がどうこう言う資格はないと思うのだ。
自分が食べてきたものは、すべて殺生から成り立っているのだから
この生き物は良くて、この生き物はいいとか
これは食べてよくて、これは食べてはいけないなんて
個人の感情や食習慣の違いであって、文化の違うやつが
とやかく言うべきではないのだ。

これは宗教にも通じる。
キリスト教の傲慢で、キリスト教以外の人間を改宗させるなんて
言語道断で、勘違いもはなはだしい!
民主主義だろうと、社会主義だろうと、その国や地域が
その歴史の中で生きている事に、他国がどうこういうべきではないのだ!
自分が正しいと言うなんて誰にも言えないのだから。

本文の中にあるんだけど、鯨は小魚を大量に食べるので、
捕鯨が禁止されて以来、鯨が増えすぎて魚が激減している…とか
鯨が食糧難に陥って餓死しているケースがあるとか…
なんだか、ホントに調査したのか一部の一件だけで
本を書いているのか知らないけど、大学の教授みたいなヤツが
机上の空論唱えても、そんな問題は把握できる訳ないと思う。
この、巨大な海というものを目の前に人間がそれを100%把握できるとは
とうてい思えない。信憑性があんまりないんだよな~
何冊読んでも捕鯨問題の本は、意味がない気がしてしまうのだ。

「食料がたくさんあるのだから、わざわざ鯨を食べなくてもいいんじゃないか」という
光彦くんの意見は別にかまわないのだが・・・・・・・
うーん私はこれも違うと思うのだ。
まあ・・・正解はないんだけどね。

そんな事言ったら、これだけ植物が豊富に存在しているのだから
肉や魚は一切食べなくていいじゃないかと言われたらどうするのだ。
これもかなりの正論だぞ。
だって、タンパク源は肉や魚じゃなくても採れることが
これだけ浸透しているのだから。

もっと言えば、生きとし生ける者すべては、殺生で命をつないでいる
文化を何千年も人間が長い歴史の中で培ってきたのだから
どんな生き物を食べてもいいし、どんな生き物に食べられたとしても
逆に文句は言えないのだ。

そのかわり、命をいただいているのだから無駄にしてはいけなくて
食べ物を捨てたり、無駄にしたり、粗末にしたりするのは
以ての外だと私は考えちゃっている訳です。

私は、小学校低学年の時に、鯨肉のから揚げを食べた事があります。
甘く味付けしてあって、美味しかった。
でも、捕鯨禁止で鯨が食べられなくなっても
自分ちの食卓に昇ったことが一度もないので、
そんなに困らないのですが・・・・・
食べる人がいてもいいと思うし、捕鯨の歴史を否定してないので
和歌山の文化としてあってもかまわないと思う。

海洋哺乳類が大好きな私がですよ?
イルカの健気な様子もかわいくて好きだし
形も目もしぐさも何もかもがかわいい(笑)
鯨の壮大さも見ていてとても癒されるし・・・・
哺乳類として陸を選んだ種類と、そのまま海に残った種類がいるという
進化の過程の壮大さがすごく好きなのです。

それを食べる事が習慣にないから食べないだけで
習慣にあったら食べると思う。

ひつじ見ながらジンギスカン食べるでしょ?
『ベイブ』で泣いても、やっぱり生姜焼きは美味いと思うし。
牛の赤ちゃんが生まれてすぐに立つ姿に感動しても
やっぱり焼肉は美味いでしょ?(ユッケが好きだよ~)
夜店でヒヨコ買ってニワトリに成長するまで可愛がってても
ケンタッキーフライドチキンは食べるじゃないですか。

この生き物は良くてこの生き物はダメだなんて、
人間が勝手に決めたルールでしかないし、個人の主観の問題なんです。
つまらねえ正義感持ち出して、妙なプロバガンダに血道あげているより
もっとやらないといけないことあるんじゃないのかな・・・・と
捕鯨反対国の奴らに問いたいですね。



・・・・・やっぱり社会派作品は苦手だ。
これは内田先生の作品に限らないけどね。
でも、話し自体はやっぱり面白いのだな。
ある種のテンプレートがあって、そこの筋を色々変えているだけとも
言われますが、それがいいのです。
というか、そうならないといけないのです。
そのテンプレート自体が作れない人間が、私を含めて
多いのですから・・・・・・

これも好きな作品のひとつかな~と思いました。
でも、基本的にはやはり人情旅情話で、犯人に女の情念が
絡んでいる方が面白いです。
犯人が復讐の為にやった犯罪…ってなオチが好きなので(笑)



ちなみに、来年も浅見シリーズを描くことが決定しています。
この作品じゃありません。
わりと有名な作品ですが、今まで誰もコミカライズ化していないものです。
そうなんだよな~私は作品がカブる事は今のところないです。
浅見光彦シリーズは、かつては角川書店でやっていて
今は、秋田書店と私のお仕事もらっている実業之日本社の
3社でコミカライズ化していて、漫画家さんも30名以上の人が
描いていますが、そのせいで何作かカブってコミカライズ化
されています。
特にショートストーリーだと何回も何回もコミカライズ化
されていたりするし・・・(「鏡の女」なんて、4パターン見たぞ)

好きな作品ですが、難しいです。
社会派ではないのですが、時代考証をじっくり破綻なくしないと。
今は色々資料集めに奔走中です。
どうぞお楽しみにヽ(=^-^=)ノ←先の話ですが



鯨の哭く海 (祥伝社文庫)

鯨の哭く海 (祥伝社文庫)

  • 作者: 内田 康夫
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2005/08
  • メディア: 文庫



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